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腰痛と「心理社会的因子」その5 [腰痛]

腰痛と「心理社会的因子」その5
~腰痛診療ガイドライン2012~

前回の続きとなります。

「Clinical Question 5 腰痛の自然経過はどのようであるか」についてご紹介します。

---以下、ガイドライン本文(一部改変)---
Clinical Question 5 腰痛の自然経過はどのようであるか
要約
(中略)
Grade B 心理社会的因子は腰痛遷延の因子となる.

解説
(中略)
 急性腰痛が長引く要因や予後予測因子に関して2つの系統的レビューがある.
 2001年に出された職業関連腰痛のガイドラインでは,34の系統的レビューや17のガイドラインを検討している(LF01736,EV level Ⅰ).その結果,個人的なまたは職業上の心理社会的因子は,腰痛やそれに伴う身体機能障害の遷延に:重要な役割を果たす高いエビデンスがあると報告している.また,身長,体重,身体所見(下肢伸展挙上テスト,腰椎可動域など)は,予後との関連は少ないとしている.
 2002年の系統的レビュー(LF02175,EV level Ⅲ)では,発症後3ヵ月以内の腰痛患者を対象として,心理社会的因子と腰痛の予後との関連を調べた25論文を検討している.その結果,心理社会的因子の中でも特に心理的苦悩,抑うつ気分などは腰痛遷延と関連があった.
 日本においては,勤労者慢性腰痛患者(100日以上の休業47例,30日以下の休業167例,平均年齢46.5歳)を対象に長期休業に影響を及ぼす因子を検討した論文(LJ00838,EV level Ⅳ)が2006年に出されている.その結果,心理的要因,喫煙,重労働,小規模事業所が長期休業に関与する因子であった.
---ガイドライン本文 おわり---

注)本文中の「LFXXXXX」は文献番号です。

次回は、「Clinical Question 11 腰痛に運動療法は有効か」についてご紹介します。

おわり

文献
1)日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,腰痛診療ガイドライン策定委員会編:腰痛診療ガイドライン2012,南江堂,2012.
2)竹下克志:腰痛診療ガイドライン,ペインクリニック,34(1):7-14,2013.

腰痛と「心理社会的因子」
その1
その2
その3
その4



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